「…熱は、もう無いわね。君、具合の方は大丈夫?」
熱を測るために仕方なく触ったと
ずるい大人の口回し。
本当は何も考えずに
いつもの癖で触っちゃっただけなのに。
それなのに彼は、
「……だ、大丈夫。」
頑張って返事を貸してくれてるみたいだ。
(全然、大丈夫そうじゃないけど…
人間に触られていい気するわけないわよね
次からは気安く触らないようにしなきゃ…)
今改めて彼を見ていると、やっぱり
あの時自分がしたい事を諦めてでも
助けることか出来て良かったとおもってしまう
スッー…と彼女は腰をあげると
この場から立ち去ろうとする。
「熱もありませんし、
傷口も治ってきてるので安心ですが
念のため先生をつれてくるから
待っててください」
早々と事務のように喋った後彼女は手慣れたよう
に奏斗が抜いてしまった点滴を片付け
部屋から出ていってしまった。
パタンッー
その扉の音を聞きながら
さっきの医師を連れていってくると言った
彼女を思い出していた。
あの女……医者じゃないの?
(じゃあ一体なんなんだ?)
