女は旭兔をじっと見据えると
言いづらそうに躊躇いながら
「……あの、嬢って柄じゃありませんって何度も」
お嬢さんと呼ばれるのに抵抗があるらしい。
…………あーぁ。
こいつに何度も言った所で無駄なのに。
「俺は、女性全員につけるんですよ~」
そう言った旭兔の顔は
いつもの偽物に戻っていた。
こいつの昔からの悪い癖の一つだ。
色んな事にこだわりが強い旭兔は
言ったことを曲げない
本当に全員の女につけてそう呼ぶ。
呼ぶと大概の女は喜んでるのに
それを嫌がる彼女は、どうやら鋭いらしい。
そう旭兔のこの呼び方は皮肉だ。
女には全員この呼び方だが
DOLLの同僚の女には普通に呼んでいた。
つまりこの呼び方は人間の女だけ――
旭兔は人間とDOLLを区別している。
