彼は振り返った私の顔を見るなり、自分も泣きそうな顔をして慌てて近くへ駆け寄ってくる。
「……言い逃げって、ズルいと思わない?」
そう言って私の腕を掴んだ彼は、そのまま黙って足を進める。
「あの…瀬戸くんっ、自転車は、」
「─…それ、いま重要なこと?」
どうやら怒っているらしい、瀬戸くんに腕を引かれたまま…近くの住宅街にある小さな公園に二人で立ち寄ることになった。
子ども向けの滑り台がひとつ、ポツンとあるだけのその公園。端の方に申し訳程度に備え付けられているベンチに二人並んで座った。
「……ゆいちゃん、俺のこと…好きなんだよね」
「……え…?」
「大好きなんだろ?俺のこと」
もちろん…好きだ。大好きに決まっている。静かに首を縦に振って"そうだよ"と伝える。



