ゆる彼はエモく尊い【完】



どんなにゆっくり歩いても、いつかは私の家にたどり着いてしまうわけで、、



「ん…着いたね。じゃあ…また夜、電話する」


少し名残惜しそうにしながら、私の手を離してしまった瀬戸くん。今日一日一緒だったからか、それが凄く寂しくて、、



あれほど緊張していたはずなのに、、気付けば自分から彼の腕をギュッと掴んでしまっていた。



「……ゆいちゃん?」

「……し…たぃ、」

「ごめん、なんてっ」


「ちゅー…したい」


背の高い彼を見上げると、意図せず上目遣いになってしまう。なんとも自然に口から飛び出した驚きの要求に…彼はパチパチと何度か瞬きをしたあと、顔を真っ赤に染めて…慌てて私から目を逸らした。



「いや、ちょっと待って……俺今日死ぬのかな?ヤバい幻聴が聞こえてきた」



幻聴だと思い込んでいるらしい彼の腕を引っ張って、再び目を合わせるように仕向ける。




「幻聴じゃない……して欲しい、、キス」



目を見てハッキリそう告げた私に、瀬戸くんは驚いたように目を見開いてから……今度は逆に私の腕を掴んでマンションの駐輪場の方へと足を進めた