ゆる彼はエモく尊い【完】



私と瀬戸くんがそんなやり取りをしている背後で、ゾロゾロと揃って着いてくる瀬戸くんの友人



聞こえてくる会話と言えば─……



「あの子、3組の前田さんだよな?私服姿だと印象違うよなぁ」

「てか全然普通にアリ!えー…声掛けてみる?」

「いやでも、人数的に合わねぇし…ほか探そー」



"俺たち瀬戸涼太の友達です"というブランドを武器に、一緒に回れそうな女子を探している模様だった。



とても呆れるような会話の内容だが、ある意味健全な男子高校生らしくて…これも遠足の醍醐味みたいなものか、と思いながら自分は瀬戸くんとの水族館デートを楽しむことにした。



「……あ…こんなデカいの、初めて見た」



と言って瀬戸くんが足を止めたのは、巨大なエイと複数のサメが泳ぐ水槽。サメも中々の迫力ではあるが…たくさんのエイが泳いでいる光景はなかなか見応えがあるものだった。



確かに、凄いなぁ……と自分も瀬戸くんの隣に並んでマジマジと水槽を眺めていると、、



「うわっ……気持ち悪っ!!デカすぎて引く」


「二匹くらいだと可愛いけど、量が増えるとちょっと不気味だねー」


「サメとか恐いだけだし、早く行こう……」



なんて……私たちの後ろを逃げるようにして早足で抜けていく女子が多数存在した。こういう時、自分も女の子らしく"サメって怖いよね、早く次行こうよ"…っと言うべきなのだろうか?



少し不安になりながら隣にいる瀬戸くんを見上げると、不思議そうに水槽を眺めて優雅に泳ぐサメやエイのことをジッと目で追いかけている姿が見えて……そんな考えはどうでも良くなった。