ゆる彼はエモく尊い【完】




「おつかれ〜瀬戸!また明日」

「瀬戸くん、バイバイ!!」

「涼太っ!また夜、連絡するな〜」


HRが終わると、すぐに荷物をまとめた彼の元にクラスメイトたちが一言二言声を掛けてから退場していく。



そんな彼らに対して瀬戸涼太は、、


「あぁ」とか「んー…」とか、だいたい二音で返事を済ませては…急ぎ足で私の元へとやってくる。



「ゆいちゃん、お待たせっ…」


私にはこのように、ちゃんと文章にして話しかけてくれる瀬戸くんだが…本来の彼は”クール”で”無口”だという印象が強い。



「全然だよ、今日も長かったね…瀬戸くんのクラスのHR」

「ほんとにね、嫌になる」



そんな何気ない会話をしながら…さりげなく私の手を取って握った彼に心臓がドキドキと暴れまくる。下校中は彼の自転車が存在するので手を繋ぐことが出来ないので…瀬戸くんのクラスから駐輪場までが私たちの手繋ぎ区間なのである。




「……遠足、楽しみ」


彼が小さな声でそう言ったのが聞こえたので、視線をあげて背の高い彼を見上げてみれば…目が合っただけで頬を赤く染める瀬戸くん。



「そ…そんな、見ないで、、」


ふいっ…と顔を背けられてしまってとても残念に思うが、全ての行動が可愛いのでグッとくる。



「あの…良かったら、遠足のお弁当私が作ってもいいかな?瀬戸くんの分も」



以前、お弁当をとても美味しいと褒めて貰えたのでいつか彼の分も作ってあげたかった。この遠足はちょうどいい機会になるような気がして…本当に何気なく、深い意味はなく口に出した私のその言葉に、、瀬戸涼太は足を止めた。