結局…瀬戸くんに見送られながらエントランスをくぐり、最後振り返ってもまだこちらを見ている彼に手を振ってみせれば…ようやく自転車に乗った瀬戸くん。
エレベーターで三階まであがり、廊下から下を見下ろすと…来た道を自転車で走って戻っていく瀬戸涼太の姿が見えて、思わずスマホを向けてその姿を写真に収めてしまった。
すると…突然自転車を漕ぐのを辞めた瀬戸くんが、何を思ったのかこちらを振り返った。
「……え、まさかバレた?!」
隠し撮りがバレたのかとヒヤヒヤした私に向かって、離れた距離から手を振る瀬戸涼太の姿が視界に入り、またしても胸を打たれる。
小さく手を振り返しながら、「気をつけてね」と再び自転車を漕ぎ出した彼の背中に向かって呟いた。
彼が自転車を漕ぎながら、上機嫌でラブソングを鼻歌で歌いながら帰宅していたなんてことを私が知ることはない。



