家を出て愁くんの車に乗った
お父さん、お母さん私いなくなって寂しくないかな
私は寂しいよ

「きり次の休みいつ?」

そんなことも知らず愁くんはいつも通り

「水曜日」

「水曜日は通院の日だなぁ...
じゃあ火曜の晩かな、海にドライブいくなら」

「...別に今日行きたいと思ってたけど
火曜に行きたくなるかはわからない」

通院の日
その響きがもう気分悪い

「そっか、なら行きたくなったら教えて」

なんかやけに優しい?
いやこれが本来の愁くん
忘れかけてたけど幼馴染で優しい愁くん

車で20分ほど走ると綺麗なマンションに着いた
駐車場に停めて荷物を持って部屋に向かった

15階建ての10階が愁くんの家らしい

「お邪魔します...」

中もすごく綺麗で整頓されている

多忙なお医者さんの部屋には見えない

「ルームツアーするから荷物置いたらついてきて」

リビングやトイレ、お風呂、キッチンそして

「ここきりが自由に使っていい部屋」

全く何もないけど立派な部屋

「次の休み、必要な家具、家電買いに行こう」

家具?家電?

「私、ずっとここに住むの?
落ちたら家帰っていいんだよね?」

「仕事行く間はここに住んで欲しい」

仕事を辞める選択肢は私にはない
ってことはずっとじゃん

「そんでここからが重要」

「なに」

「喘息の発作は朝方や夜がでやすい
それによって心臓の発作に繋がりかねない
そのために大きい喘息発作になる前に食い止めたいんだ」

何が言いたいのかよくわからない

「寝るのは俺と同じ部屋
すぐに俺が気づけるように」

「えっ」

幼馴染とはいえ今まで一緒に寝たことはない

マンガやアニメ、ドラマでしか見たことはないけれど夜、男女で寝るって...ことは?

いやいや私考えすぎだ

何もないに決まってる

「寝室の俺のベッドの横にきりのベッドが明日届く
そこで夜は寝て欲しい
それ以外は好きなところで好きなことしてくれ」

なんだかドキドキしている
愁くんと同じ部屋で寝るのか

寝言聞かれたくないし
寝顔も見られたくない

「じゃ俺シャワー浴びてくる
きりはさっき家で風呂入ってたから今日はいいだろ」

「うん」

愁くんがシャワー浴びてる間
リビングのソファに座ってゆっくり...
できるはずがなく落ち着かない

すぐに愁くんがあがってきた

「きりなんか飲む?」

「えっ...うん」

「なに?緊張してんの」

「なんか雰囲気が...おしゃれで」

「そうか?」

「うん」

冷たいコーラを出してくれた
最高、今の気分にピッタリ
さすが愁くん

それからいつも通り
会話していい時間になった

「明日お互い仕事だしそろそろ寝るか
今日はベッドないから俺ソファで寝る
きりはベッドで寝な」

「いやっいいよ、私がソファで寝るよ」

「ダメ、疲れ取れないからベッドでゆっくり寝て
じゃあおやすみ〜」

私をソファから追い出して電気を消して毛布をかぶって横になった

、、、私の行き場がない

お言葉に甘えて寝室にきて
愁くんのベッドに横になった

ちゃんとベッドメイキングもされてて
シーツもシワひとつない

忙しい中誰がこんなことしてるんだろう

そんなことを考えてる間に
いつのまにか眠っていた

私、相当疲れてたみたい