中庭から院内に入った

後ろから愁くんがついてくる
私に話しかけるわけでもなく
程よい距離を保ってついてくる

「ねぇついてこないで」

「病室まで送るよ」

「いい、1人にしてほしい」

「昨日も話したけど1週間である程度、体調を安定させたい
だから協力してほしい」

「...」


ついてこられたら1人の時間もくそもない

仕方なく部屋に戻った
部屋に戻ると携帯やバッグが一式
置かれていた

「診察の準備をしてすぐ戻ってくる
ゆっくりベッドに横になってて」

ほんと数分で戻ってきた
肩には聴診器がかかっていて
手には血圧計と体温計を持っている

「服の上からでいいから胸の音聞かせて」

慣れた手つきで聴診器を耳にあて
私の胸の音を聞き始めた

「いいよ、次血圧測りたいから
腕かして。
違う方の腕に体温計挟んで熱はかって」

機械で血圧を測って手にメモをとった
そのタイミングで体温計もなり私が見る前に奪い取られた

「今日の夕方から俺が来れないときは看護師が血圧とか体温計りにくるからちゃんとやって」

「...」

何でそんな上から目線なわけ
もう何してても何言われてもイライラする

「きり、一緒に1週間耐えよう
耐えたら好きなことなんでもできる
やらせてあげられる
だから頑張ろう
俺の携帯は仕事中出れないかもしれないから
病院にいる時はナースコール押して
俺に繋げてもらえばいいから
なるべくこの1週間は病院にいるから。

白衣きてたら医者として
白衣きてなかったら幼馴染として
ずっと寄り添うから、頑張ろう

とりあえず今日から毎日、もくもくの吸入して。
そしてあとで検査もして欲しい
お馴染みの検査だから怖がらなくて大丈夫」

私に有無を言わさずひたすら話し続ける愁くん
なんか話してるなぁくらいで何も頭に入らない

「聞いてる?」

「うん」

「また看護師が検査呼びにくるから検査してきて。
俺も空いた時間、顔出しにくる」

「...」