お店を出てタクシーで病院に戻ってきた

もう夜遅くて静かに病室に戻った

「ちょっとだけ診察させて欲しい
俺も着替えて診察セット
持ってくるから着替えて待ってて」

私服からパジャマに着替えた
1日外にいた気がして数日ぶりに
リフレッシュができた

明日からいや今から
また入院生活がはじまる

本当に愁くんが言ってたように
1週間で退院できるのかも不安

「きり、着替えた?
入っていい?」

「...うん」

入ってきた愁くんは白衣を着て
聴診器をもって入ってきた

「...はぁ」

さっきまでの雰囲気と全然違う
やっぱ少し怖い

「なんのため息?」

「白衣が嫌だ」

「白衣着ないと医者のスイッチ入らない
特にきりを相手だったらもっとスイッチ入れたい」

「なんで?」

「普通の患者じゃないから」

「迷惑な患者?」

「ははっ、そんなことないよ
俺にとっては特別な患者だ。
白衣きてないときはとことん甘やかしてあげる
でもダメな時はダメと言えないと
担当医はつとまらない。
白衣はその切り替え
きりもわかりやすいだろ」

「...」

愁くんの言ってることもわかるけど...
白衣をみると怖くてドキドキしちゃう

「慣れるよ、大丈夫
とりあえず胸の音聞かせて」

持ってた聴診器を耳につけて
パジャマの上から私の胸に当てた

「吸って...吐いて..吸って...吐いて...
後ろからも聞かせて

はい、いいよ」

いつもより長い聴診を終えて
ベッドに寝転んだ

1日色々あって疲れた

「少し音悪いしステロイドの点滴打ちたいんだけどいい?」

「えっ」

愁くんから嫌な提案があった

「俺がぜーったい痛くないように刺す
そして終わったらすぐ抜く、頼む」

愁くんはくしゃっと目を瞑り顔の前で
両手を合わせて私に頼んできた

その姿が可愛くてそして愛おしかった

「ははっ」

「...?」

「久しぶりにそんな愁くんみた気がする」

「えっ?」

「...ぜーったい痛くないなら...点滴...やる」

可愛い愁くんに負けて言ってしまった...

「きり、最高ありがとう」

嬉しそうにすぐに部屋から出て行った