「きり、さっきの2択覚えてる?」

いきなり話をふってきた

食べてた手を止めて恐る恐る
愁くんの顔をみた

さっきとは違うお医者さんの顔をしている

怖くて素早く視線をそらして
またチャーハンを食べ始めた

「無視すんなよ、悲しいだろ」

「愁くん、お医者さんの顔になってる...」

「ははっ、ちょっとは病気の話させてよ」

「...やだ」

せっかく美味しいご飯が不味くなるじゃん

「じゃあさっきの料理みたいに
俺が勝手に決めていい?
散々、お腹空いてないって言ってたきりが
俺が頼んだきりの大好物を美味しく食べてる。
俺はきりのことをきり以上によく知ってる
いまどうしたいか自分でもわかってないだろ
決められないっていうのがきりの中であると思う
だから俺が決める。
きりはそれに従う、絶対に悪いようにしないから。
俺が選んだ選択を間違ってたなんて思わせない。
約束するから」

「...」

確かに決められないよ
今、病院に戻って治療受けるのも嫌
でも3日後、入院生活始まっていつまで続くわからないのも嫌

わからない
どっちの選択がいいのか本当にわからない

「...わからない
どっちも嫌だ、怖い」

「怖くないよ、俺がついてる
1週間頑張ろう、なるべくそばにいるから」

私の頭を撫でて残っていたご飯を食べはじめた

「...」

それからは病気の話は全くせず
普段通りの愁くんに戻って
私も残った好物を平らげた