幼馴染はお医者さん



電話を切ってから1時間ほどで
きりが戻ってきたと受付から連絡があった

入院してたベッドはそのままで
そこに誘導してもらった

部屋に行くと
きりは俯いてベッドに座っていた

「おかえり」

「...」

反省してるのか不服なのか
よくわからないけど反応がない

「これ、許可証だから名前と行く場所と
いつからいつまでか書いて」

もってきた許可証をベッドテーブルに置いた

それからも反応なく
ずっと俯いている

「きり、俺の顔みて話聞ける?」

きりの横に座って少し話ができるか試みた

少し顔を上げた気がしたけど目は合わない

「いまのきりには選択肢は2つある
1、今から3日間の外泊許可を出す。
その間、何してもいい。
友達の家泊まってもいいし家帰ってもいい
仕事も行けるなら行ってもいいし
遊びに行ってもいい
ただその3日が終わったら必ずここに戻ってきて
治療をしっかり受けること。
病状が落ち着くまで入院してもらう。
どれくらいかかるかわからない

2つ目
今から1週間
とりあえず入院して治療頑張る。
その1週間のきりの頑張り次第と病気の具合で
退院許可だしてあげる

退院したら通院は必要だけど
普通に生活できるようにしたいのが
俺の目標

どっちがいい?」

いまのきりには究極の選択だと思う
3日とりあえず入院からの解放が待ってる分
戻ってきたらどれだけ入院するかわからない

でも1週間頑張って入院したら
退院の目処がたつ

俺は今の治療が大切だと思ってる
1週間頑張って様子見て退院させたい

外泊の3日、何が起きてもおかしくない
状態の中で自由にさせるのは少し怖い

あとはきり次第...

だけど何も反応がない
ずっと下を向いている

「俺がいない方がいいか?
1人で考える?」

何も反応がないし
どうすればいいかわからない...

「なんかあったら呼んで、
すぐ来るから。」

とりあえず残ってた患者さんの
カルテの確認をするために
ナースステーションにもどった


少し考える時間を与えて
こっそりベッドを覗きに行くと
きりはすすって泣いていた

30分ほどその場から離れていて
ずっと泣いてるっぽい

「あまり泣くな、発作起きるぞ」

小さい時は泣き虫でよく泣いていたけど
最近は大人になったせいかあまりみなくなった

声をかけても泣き止まない
今のきりには医者としてではなく
幼馴染の高橋 愁として接することが
最善な気がして白衣を脱いだ

「このまま泣き続けると本当にしんどくなって
今日、帰れなくなる。
わかったから泣き止んで」

きりと横に座って背中をさすりながら
泣き止むのをまった

俺がきて15分ほど経ってからやっと泣き止んだが
やっぱり喘鳴がひどい...

「きり、ちょっとゼィゼィ酷い...
もくもくのお薬持ってくるから待ってて
すぐ戻ってくる。」

薬を取りに少しその場を離れた