○きりサイド○
お母さんたちが帰ってすぐに愁くんが部屋に戻ってきた。
「きり。おじさんが買ってきてくれたアイスたべな」
「いらない」
「せっかく買ってきてくれたんだから」
「さっきはダメって言ったくせに」
「ダメとは言ってない、晩御飯は食えよって言っただけだ」
「...」
「きりが食べないなら勿体無いし俺が食べるわ」
愁くんがお父さんが置いていった袋の中を覗いてアイスを取った。
「ダメ。それきりの。」
アイスを奪い取った。
「家に帰りたいって?」
愁くんがベッドサイドの椅子に座って聞いてきた
今日の昼に入れた連絡のことだろう
「見たなら返信してよ。」
「午前中はちょい忙しかった。」
「あっそ」
「なんでそんなにツンツンしてんの」
無視をしてアイスを食べ続けた
私もなんでそんなに愁くんにそんな態度を取っちゃうのかわからない。
「家にはまだもう少し帰れない」
「なんで」
「帰ってもまた悪くなって病院に来ることになるから。」
そうだよね。
わかってるよ、わかってるけど望みをかけて聞いてみたの。
はぁ...
「トイレはいつまで呼ばないといけないの」
「今から色々検査して大丈夫そうなら1人で行ってもいいよ」
「検査って?」
「そんな嫌がるような検査じゃない。
準備するからささっとやって。」
優しいのか冷たいのか
愁くんの態度に違いがありすぎてわからない
促されるがままに
血液検査をして
レントゲンを撮った
「肺炎にもなってないしトイレ一人で行っていいよ。ただ中庭は寒いしダメ。下の売店に行く時は俺か看護師さんに声かけて」
「...」
「きり。」
「疲れたから寝る。」
掛け布団を母までかけて
ベッドに入った
「はぁ。いつになったら俺と向き合って話してくれるん」
「...」
医者の愁くんと話すと
向き合える気が全くしない
医者の苦手意識が拭えない
愁くんのことな苦手じゃないのに
自分もわからない。
「また明日な」
愁くんが部屋を出ていった



