吸入を手に入れるための残る方法は
愁くんが私のために
もっててくれてる吸入器をもらう
連絡無視されてる限りは
奪うしかない
じゃないと発作が起きてしまう
クリニックから出て
そのまま愁くんの実家に行った
...ピンポーン
「はーい」
「きりです」
「ちょっと待ってねー」
愁くんのママだ
すぐに玄関に来てくれた
「どうしたの?」
「愁くんに借りたいものがあって。
部屋いれてくれない?」
「いいよ」
「あと...愁くんには秘密にして欲しくて」
「えっ」
「いま連絡つかなくて。
私が悪いんだけど...
多分、愁くん怒ってるから」
「とりあえず入って」
愁くんママが家に入れて
リビングに案内された
「座って〜
なんか飲む?」
「んーん、すぐ帰るから大丈夫
愁くんの部屋お邪魔してもいい?」
「いいんだけど...
愁と会ってないの?」
愁くんのママが心配そうに聞いてきた。
お医者さんとして私のこと見ているのを知っている。
「...会ってない」
「なんで?」
「私が悪いの。
とりあえず部屋、お邪魔するね」
バタバタと階段を上がって
愁くんの部屋に入った
私と行動するときは吸入器をポーチにいつも入れて持ち運んでるって言ってた
けどポーチがない
やっぱり一人暮らししてる家に持って行ってるのかな。
引き出しの中やバッグの中、
手当たり次第探したけどない
仕方なくリビングに戻った
「愁くんママ。
ありがとう。みつからなかった。
今日は帰るね」
「気をつけてね」
愁くんママはなにか言いたそうだったけど
そのまま何も聞かず何も言わずに
私を玄関まで見送ってくれた。
「また来るね」
玄関を出ようとした瞬間
...ガチャ
扉が開いた。
そこにいたのは
愁くんだった。
約3週間ぶりに会った
「きり、何してんの」
「いや、なんでもない。」
急いで愁くんの家を出た。



