座ってすぐ、より空間は暗転していき、注意事項のアナウンスが入った。
それを軽く流しながら、わたしは深呼吸をする。
──人生で初めてだ。星を見るのにド緊張してるの……
香月さん効果でしょう。
ちょっと手をずらせば触れられるこの距離感に、深呼吸をしても心臓が落ち着く気配はない。
ドキドキに呼吸が大事みたいなこと聞くけど、わたしには効かなかった。
「はじまるね」
「そ、そうですねっ」
仰向けのまま小声で話し、わたしたちが微笑むとゆっくり星が輝き、ひとつひとつ星座が解説されていく──
……落ち着く声の解説に、いつの間にかドキドキは緩和されていた。
少し飽きてきた子供の声やそれを注意する親の声。
中には寝ちゃってる人もいるのかもしれない。
……寝るはずがないのはわかってるけど、僅かに首を動かして香月さんを見ると、
ん?……目瞑ってる?
これまた美形だけど……寝て、ないよね?
軽く頭を起こして香月さんに近付けば、パッと開かれた目──瞬時に元の位置に戻ったわたし。
でも、隣からクスクスと笑い声がする。
口を押さえて笑う香月さんの声。
ドックンドックン脈の音が聞こえてくるわ、香月さんは笑ってるわ……
そこからわたしは終始ドキドキだったけど、見たいものがみれたのは本当に良かった。



