まよいぼしカフェ




驚くと同時にわたしは、床へ向かうスノードームに手を伸ばした――



男が出ていきドアが閉まる音と、

わたしが床にダイブした音が重なった。

中々の振動も含めて。


「……っ!?市川さんっ!」

男が帰るのを見届けたであろう香月さんは、後ろからした音とわたしに気付いて、血相変えてすぐにかけよって、わたしを起こしてくれた。


「大丈夫ですかっ!?」

「……はい、大丈夫です。すいません急に」

へらっと笑ってみせたが、地味に痛い。


「何があったんです?」


わたしは両手に包み込んだスノードームを香月さんに渡す。


「さっきの男の人がぶつかった時に、落ちそうになってて……つい、体が動いちゃいました。わたしも香月さんもお気に入りのお祖父様が作ってくれたスノードームが壊れたら悲しいですから……」


渡したのはいいが、かけたりしてないだろうか。


「傷とか大丈夫ですか!?わたし勢い良くダイブしてしまったからっ――!?」


え――


どうしよ。



起こしてくれていた香月さんに抱きしめられてしまった。