はじめからずっと、終わりのない不幸を歩いていた。
あたしは双子の遺伝子に強く惹かれた。双子は、あたしの遺伝子に強く惹かれていた。
零と楽園を築いて、これで愛の循環は終わりかと思ったのに、禁忌を破って楽園を失ったあたしたちは、不幸を夢見て運命を呪った。
詠があたしの後頭部にやさしく手を添える。キスを求められていることは明白だった。しずかに唇を重ねる。
詠はゆるく笑っていた。音を立てながら何度も何度も唇を啄まれる。不幸を一緒に積み重ねようって、約束したはずなのに、なぜか詠はずっと幸せそうだ。
「……零のこと、ほんとうに好きだった」
「おれのことは?」
「詠のことも、好きなの」
ああ、何を言っているんだろう。最低で、最悪なあたし。なのに詠は、最低ごと抱きしめて、何度も何度も唇を重ねた。徐々に意識が微睡んでくる。
「くすり、効いてきた」
「……うん」
結局、あたしは双子の遺伝子を愛していた。
だから、詠とこうやって一緒にいるのは、ただ二人のうちの生き残った方を選んだだけじゃないのかと、そういうふうに尋ねられても、否定できない。
だけど、零を悼む気持ちと、彼を想って受け止めた幻肢痛は、実在していた。だから、幻を抱いて、今日も不幸を夢見て眠るよ。
「起きたら詠が死んでるとか、いやだよ」
「大丈夫。一緒に眠ろう」
左手を強く握られる。
零、自分勝手でごめんね。あなたのこと、忘れないから。ずっと、幻を愛しているから。だから。
おやすみ、零。しなないで、詠。


