睡からの返信を待つのにも疲れた夜長、思い切って彼女に電話をかけた。

 何を話すべきなのかはわからないけれど、彼女が生きていることだけが確認できればそれでよかった。

 昨日あんなことがあったあとだから、睡はおれの声なんか聞きたくもないだろう。だけど習慣になった睡の生存確認を欠かすのはなんだか気持ち悪い。歯磨きしないと気持ちが悪くなる、あの感覚に近い。

 発信音のコールが幾度となく繰り返されるたび、虚しい気持ちだけが膨らんでいく。結局彼女は、電話に出てくれなかった。


〈明日の朝までに既読つかなかったら警察呼ぶから〉


 最終的に送った文面はいつも以上に刺々しくて、自分がいやになる。それでも、そうしないと気持ち悪かった。

 それだけ送って、おれは忘れるように眠った。双子の兄は不眠症だったけれど、おれは睡眠薬なんかなくても眠ることができる。




 翌朝になっても結局睡からの返信は来なかった。既読すらもついていない。

 既読がつかなかったら警察を呼ぶ、と文面で言ったはいいが、その前にまず彼女の家に行くことにした。

 昔一度、彼女と連絡がつかなくて、警察に届けたことがある。そのときはただ、彼女がおれに連絡するのを忘れていただけで、彼女はきちんと生きていたし、何事もなかった。

 そのときに彼女から、「むやみやたらに通報するな」ときつく咎められた。「おまえが連絡を返さないからだ」と言い返したけれど、たしかに、多方面に迷惑をかけただろうと思う。

 今回も、杞憂だったらいい。この焦りが、意味のないものだったらいい。そんな気持ちで、彼女の住む家に向かう。

 幸運を願ってはいるけれど、今回に関しては心当たりがあるから余計に不安だ。彼女に真実を突きつけて、無理やり抱いた後のことだから、すこし、いやな予感がしている。