双子は入れ替わった。

 今在詠に心惹かれていたつまらないあたしは、いつしか双子の兄、今在零に陶酔する、かわいいあたしになった。

 自分を好きでいてくれるひとを好きになっただけ。それの何がわるいの。あたしは自己中心的で最低かもしれないけれど、零にとっての最高だったら、もうそれだけでよかったの。





 あれからしばらくして、あたしは零に処女を差し出すことを決めた。それ以外のひとなんて、それこそ今在詠を含めても、まったく考えられなかった。


「はじめてなのに、こんなところで済ませちゃっていいの?」

「ここがいいの。零だから、いいんだよ」


 いつの間にか、今在零にも太宰治にも深く陶酔した。だからあたしは、痛くてかわいくて、変態な女の子になった。

 零はそんなあたしを骨の髄まで甘やかして、奥の奥まで絆して、さらに溺れさせていった。そういう、共依存に近い執着心や独占欲が熱くて痛くて心地よくて、ずっとお互いをもとめて、深く沈んだ。

 愛し合ってない、なんて嘘だ。あたしは確かに零を愛していた。零だって、あたしを愛していた。


「睡、ぼくだけで満たして」

「ぅあ、」

「ずっと、睡のことしか考えられない。あなたにも、そうであってほしいんだよ」


 呪いの言葉でさえ甘美で、やっぱり愛していて、一生この人だけに傷つけられたいと思った。このひとに殺されてかまわないと思った。

 短くて儚いアダムとイブの楽園。禁断の果実を口にして、快楽を吸ったあたしたちは原罪を背負い地の底に堕ちていく。

 罪はあなたを愛したこと。罰は、あなたの呪いを背負い続けること。だけど、それでもあなたがすきだった。