指先で焦らされる感覚にはどうしたって慣れることができない。零はあたしの反応をひとつひとつ丁寧に覚えて、あたしがより狂うためにすべての熱を注ぐ。
そういうところが愛しくなってしまった。もう、以前のようには戻れない。
「あ、う、」
「2回目。ねえ、まだでしょ。勝手にいなくならないで」
最近、学校で今在詠を見かけると、体つきや関節のひとつひとつが零に似ているな、と思うようになった。
入れ替わりが起きている。だって元々、あたしは詠の幻を零の中に見出していたのに、いつの間にか、詠を見ると零のことを思い出すようになっていた。
「れ、い、すき、すきだから、」
「ん? ちゃんと言って」
いつの間にかぬるりと挿入された零の中指があたしを嬲って、突き上げて離さない。
ああ、だめだ。この人には敵わない。逃げられない。思考も肉体も絡め取られて、動けない。
「れいのこと、すきになったの」
「へえ。睡ってほんとうに最低だね。ぼくにしか愛してもらえないんじゃない?」
最後に零は指の動きをはやめた。重く弾ける感覚に眩暈がして目の前が真っ白になり、思わず伸ばした腕の先にはちゃんと零がいた。
零は満足そうに笑っていた。
「ぼくだけを見て。それ以外は全部棄てて」
あまくとけた楽園。あたしたち以外の人間はいらない。人間嫌いたちの楽園に身を投じ、このなかで、ふたりだけで生きていければそれだけで十分だった。


