「睡ってちょろいから、心配になる」


 ショーツの上からある一点を執拗になぞり上げる指は、ピンポイントに快楽をくすぐる。彼はあたしの身体をなぜかよく知っていた。

 あまりにも強大な感覚を逃がすために腰を捩るも、親指と中指でそれをきゅう、とつよく摘み上げられてしまい、刺激がぴったりとついてきて離れない。

 摘まれたまま、人差し指の爪先でちろちろと刺激されると、勝手に脚に力が入り、自分の身体のコントロールが効かなくなる。そんな状態におそろしさを感じた。


「よく考えてよ。今まで睡のことなんて視界にすら入ってなかった詠が、急に睡のこと見てくるなんて、おかしいに決まってる」

「そんなこと、っ」

「……1回目」


 前触れもなく指先のスピードがあがり、恍惚が一気に頂点まで押し上げられて、弾ける。


「うっ、く、」

「詠ってもしかして、睡のことが好きだったりして」

「うそ、だ……」

「なに期待してんの。こっち見ろって」


 すこしでも、詠を思い出すことは許されなかった。

 零だって、最初は「ぼくの中に詠の幻を見なよ」なんて余裕そうな表情であたしを誑かしていたくせに、最近の彼はずっと何かに怯えてる。

 そんなふうにしなくたって、もうあたしの頭の中はあなたのことでいっぱいだよ。だって、やわらかい雰囲気に包み隠されたあまい暴力性は、零だけが振りかざすことができるんだから。