睡があまりにも本質的な話を避けようとするので、こんな押し問答をしたかったわけではないおれは、ひとつ、提案をした。


「おまえが本当のことを言ったら、睡眠薬をやるよ」

「……脅し?」

「脅し」


 床で倒れ込んでいた睡を抱き上げて、もう一度ベッドに運ぶ。さすがに可哀想だからブランケットを渡すと、彼女はそれに抱きついてまた泣きそうな顔をした。


「……詠のことがすきだったのは、ほんとう」


 ずくり、腹の底に抑えきれない負の欲望が渦巻いた。

 だが、その興奮はすぐに消えてなくなる。


「だけど、零に告白されて、彼と楽園を築いたとき、もうこの人だけで良いって、本気で思った」


 おれと零は、切っても切り離せない双子だった。その呪縛がまだまだ枷になって、それがまとわりついてどうも重すぎる。


「もう、ぜんぶ教えて」

「……」

「おれも話すから、睡眠薬もあげるから、ぜんぶ、教えてほしい」


 この関係は間違っている。おれは自分が傷つくのをわかっているのに彼女から離れられないし、彼女だって、いつも何かをすり減らしながらおれに生かされている。

 お互いにナイフを向けて、ここにはいない誰かを悼みながら抱きしめあうような、最低で最悪な自傷行為だった。

 だけど、そんな最低から逃れられない愚かな彼女のことが、ほんとうにすきだった。