そんな資格はないのに、罪の意識だけは一丁前だった。

 おれはたしかに、心のどこかで、零に対して「死ねばいいのに」と思っていた。そしてそんなおれの愚かさを、神様はきちんと見抜いていたのだ。


 搬送先の病院で、零の死亡が確認された。夢見睡の方は、睡眠薬の摂取によって意識が朦朧としていただけで、命に別状はないらしい。

 家庭も、生活もぐちゃぐちゃに壊れた。零の死亡を悼み、だれもかれもが狂った世界で、おれだけが狂っていないふりをしていた。だが、いちばん頭がおかしいのは間違いなくおれだ。


 零の死をきっかけに、睡と会うようになった。彼女はずっと零の後を追おうとしていたから、それを止める目的で彼女と連絡を取るようになった。まあ、それは建前で、本音は彼女に近づきたいから、だったのだけれど。

 彼女はいつも死にたがったっていた。元々、彼女と零は心中するつもりだったらしい。おれが隣にいると、彼女はいつも痛そうな顔をする。零の隣で浮かべていたあの笑顔がおれに向けられることはなかった。


 彼女と零が心中に走ったあの日、零が睡に充てた手紙を、おれは黙って抜き取った。

 あの手紙を読んだとき、おれは、自分がどうやっても兄に敵わないことを自覚した。今在零が残した足枷は、あいつが死んだことで、よりいっそう強くなった。