それで、あの子とはどういう経緯で? と尋ね直すと、零は開いていた文庫本をわざわざ閉じて、うれしそうな顔をした。


「ぼくからね、告白したの」

「零から?」

「うん。彼女、よく図書室にくるから、仲良くなってさ」


 夢見睡と今在零はたしかにお似合いだった。これは完全におれの独断と偏見だが、ふたりとも、しずかに、かつできるだけじょうずに、規則正しく生活をこなしていくタイプだろう。ふたりが仲良くなったのも頷ける。

 お幸せに、という表層的な言葉を吐き出そうとしたところで、零がもう一度口を開く。


「ぼくの睡、とらないでね」


 知られたくない感情、いや、おれ自身ですら気付きたくないと押し込めていた感情に触れられて、首を絞められるような、そんな苦しさに襲われた。


「とるわけないって」


 取り返せない、に近かった。

 べつに自分に自信があるわけじゃないけれど、どちらかといえば女に好かれやすいのは零よりもおれの方だった。

 それなのに、だれのものにもならないままでいてほしいと、心のどこかで願っていた夢見睡が、あろうことか零にとられてしまった事実がにわかに偶然のようにも思われなくて、どうしようもなく死にたくなった。

 これは明らかに、双子に共通する遺伝子のエラーだ。よりにもよって、同じひとを好きにならなくてもいいだろうに。