ずっとおかしいとは思っていた。

 思えば今在詠は、鬱陶しいネオンサインみたいにきらきらと光って、みんなの注目を集めるような人だった。

 美少年だった零が、高校のときしずかな文化人として鳴りをひそめられていたのは、スポットライトの受け手を詠が一手に担っていたからだ。

 詠と日常的に関わることが許されたのは、同じように、全身からラメを振りまいたような輝きを放つごく一部の女子たちだけだ。あたしは身の程をわきまえていたし、ただ、遺伝子を共有する片割れと、図書室で秘密の楽園を築ければそれでよかった。


「あたしは詠に会うと、零を思い出して苦しいの。あなたもでしょう? あなただって、間接的に兄を殺したあたしが憎いんでしょう?」


 ブランケットの隙間から、詠の骨ばった手が見えた。どうやら彼は、ベッドのふちで、こちらに背を向けるように腰掛けているようだ。

 手の関節ひとつひとつも、やっぱり零に似ている。あなたは生きる死骸だ。


「だから余計に、おまえに会うんだろうが」

「だから、どうして?」

「おまえが一人でアイツのことを忘れるだなんて許さない。おれの隣で不幸になって」


 ブランケット越しに頭を撫でられる。もうずっと、息ができない。