しばらくすると扉が開いた。
「歩……ちゃん……」
しかし扉の向こう側にいたのは歩夢では無く、吉川だった。吉川から歩夢を探して視線を彷徨わせると、その奥にシャツを肌けせさせた歩夢の姿……。それだけで何かを悟ってしまう。
まただ……。
裏切られた……。
私は無言で扉を閉め、早足で歩き出した。
距離を置こうと言ったのは私だ。
それでも酷いじゃ無いか。
ボロボロと涙が溢れ出す。
横断歩道の歩行者用の信号が点滅を始めたのを見て急いで走り出そうとしたところで、手を掴まれた。振り向くと必死な様子の歩夢がいたが無言でそれを振り払った。そこに車が突っ込んでくる。
ギュッと両目を瞑ると体が突き飛ばされた。キキーーっというブレーキ音と共に鈍い音がした。回りから「キャーー!」と言う悲鳴が聞こえる。
ウソ……私の視線の先には頭から血を流す歩夢の姿が……。
「歩ちゃん!」


