今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う


 僕の中から何かが崩れていく音がした。ゆっくりと体を反転させ、僕はフラフラと歩き出した。暗い夜道をどうやって帰ってきたのか、いつの間にか自分のマンションの扉の前に立っていた。カバンからカギを取り出し、部屋に入るとスーツを投げ捨てるように脱ぎ冷たいシャワーを頭から浴びた。ザーッと水音だけが響いてくる。今は何の音も耳に入れたくなかった。シャワーの音だけを聞き、自分を落ち着かせる。どれくらいそうしていたのだろうか、体がかなり冷たくなっている。暑い日だと言っても、さすがに冷たいシャワーを浴びすぎた。よろりと体を動かしタオルで簡単に体を拭くとそのままベッドに倒れた。

 もう考えるのは止めよう。

 今は眠りたい。

 歩夢はゆっくりと瞼を降ろした。


 次の日は朝から頭が痛かった。体もだるく動きたくないと思ったが、会社に行く準備をする。カバンの中を確認し玄関を出ると、すでに外は暑くなり始めていた。太陽の光を右手で遮りながら目を細めてから歩夢は歩き出した。会社に着くとパソコンを開き、業務を開始する。集中していれば体のだるさも気にならなくなってくる。ひたすらパソコンを叩いていると、いつの間にか昼を過ぎていた。今日は午後に会議が入っていたはずだ。机の引き出しから資料を取り出して確認していると、資料が手からすり落ちた。それを拾おうとして椅子から立ち上がると、そのまま体が崩れ落ちる。ガタリと音を立てて床に倒れると、社長が慌てた様子で駆け寄ってきた。

「歩夢大丈夫か?」

「すみません。よろけてしまいました」

 そう言った僕の額を触った社長が驚いた顔をした。