涙を流しながら僕は愛しい人の名前を呼んだ。
「ごめんなさい……愛花さんっ……っ……愛花さん……あいっ……愛花……さん……」
僕は一生分の涙を流したのではと思うほど涙を流した。それでも涙が止まることは無い。仕事をしていても愛花さんを思い出して涙がこぼれ落ちる。
もうあの人に会えないのだろうか、もう直接名前を呼ばせてくれないのだろうか?
愛花さん……あなたの名前が呼びたい。
愛花さん。
愛花さん。
愛花さん……。
あなたの名前を呼びたい。
そして僕の名前も呼んで欲しい。
あの優しい声で「歩ちゃん」って、僕の名前を呼んでよ。
お願いだから……僕の名前を呼んで下さい……。
僕の頬を温かい涙がぽろぽろと落ちていく。
月明かりだけの部屋で、僕は涙を流す。
琥珀色の月がゆらゆらと揺れている。
僕の瞳に溜まった涙がそうさせているのだろう。
それを見てまた涙が出た。
何も手につかない。
仕事に行っても、ボーッとしていることが多く、上司から怒られた。何もする気力が起きない。
しかし、愛花さんから距離を置こうと言われたが、別れたわけでは無い。そう自分に言い聞かせ、僕は両足に力を入れ、踏ん張ることにした。


