今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う


 *

 僕の何がいけなかったのだろう。

 愛花さんの愛はいらないからと、僕の愛を沢山上げた。愛花さんから愛がもらえなくてもそれでいい。そう思っていた。僕があげられるモノなら何でもあげたい。愛花さんが僕を愛せなくても良かった。僕が愛せればそれで良かった。

 それなのに……。

 あの人は僕から離れていった。

『ごめんね。歩夢』

 愛花さんはそう言った。

 僕を歩ちゃんではなく、歩夢と呼んだ。

 本来なら名前の呼び方を変えるのは親しくなった時だろう。関係性の変化に喜ぶところなのだが、これは愛花さんからの拒絶だろうか……。名前の呼び方一つで、僕は地獄にまで落とされた思いだった。

 しかも距離を置くって?

 嫌だ……離れたくない。

 あの時、離れて行く愛花さんに『ごめんなさい。置いていかないで』と言いたかったのに声が出なかった。涙を流すだけで声を出すことが出来なかった。あまりにもショックで、口腔内の乾きと喉の奥がヒリついて言葉が出せなかった。

 あの時……謝ったら愛花さんは戻ってきてくれたのだろうか?

 違う……きっと謝っても、愛花さんは僕から離れた。

 泣いてすがっても、愛花さんは僕の手を離しただろう。