第三者からそう言われて、心の奥にヒビが入る音がした気がした。泣き出しそうな僕の顔を見た徹子ママは、もう一度大きな溜め息を付いた。
「あの子ここに通い出した頃、まだ高校生だったのよ。高校生がこんな所に来てはダメだと何度言ってもやって来てね。そのうち飽きると思っていたのだけど……今もこうして通ってる。知ってる?ここには愛を求めてくる人ばかりなの。そんな人達を……愛を語る人達をあの子、いつも寂しそうに見ているの。どうしてそんな顔をするのか初めは分からなかったけど……。理由を聞いて合点がいったわ」
徹子ママはタバコに火を付けると、白い煙を吐き出した。
「あの子の抱えているモノの重さは私には分からないわ。でもそれのせいであの子はずっと悩んでいる」
僕は徹子ママの話を聞きながら愛花さんの視線の先にあったものを思い出していた。いつだって愛花さんが見つめていた先には、愛し合う人達がいた。それを見つめる愛花さんの横顔は寂しそうで、今にも泣き出しそうだった。それがとても儚げで美しくと思っていた。
愛花さんはどうしてそんな顔をするんだろうと思っていたが、今なら分かる。
愛についてずっと考えていたのだろう。
あんな顔はさせたくない。
あなたが愛せないというのなら、僕がありったけの愛で愛したい。
そう思うのはダメだろうか……。


