僕は週末ではないのに『ラビリンス』に来ていた。
「あら珍しいじゃない。愛花は一緒じゃないのね」
徹子ママがカウンターの向こう側から出迎えてくれた。
「はい。今日は一人で来ました」
暗い顔でカウンターに座ると、何も言わないのにクラフトビールを出してくれた。
「それで?何があったの?」
「…………」
「あの子に何か言われた?」
ずっと黙ったままの僕を見て、徹子ママが溜め息を付きながら問うてきた。
「愛せないって言われた?」
僕はその言葉に反応して、顔を上げた。図星ねとでも言うように、徹子ママが苦笑いをして見せた。
「歩夢くんはあの子のことを好きなのよね?」
「はい」
「でも、あの子はあなたを好きではない」
「……はい」
愛花さんは僕を好きではない……。


