今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う


 僕は立て付けの悪い扉のようにギギギッと首を徹子ママの方へと向けると、徹子ママが両手を合わせていた。徹子ママは愛花さんの存在に気づいていたようだ。ガクリと肩を落とす僕を見て、愛花さんはよしよしと頭を撫でてくれた。

「歩ちゃんは何を心配しているのかな?私は誰も愛せない。だから歩ちゃんから離れることは無いよ」

 それは誰にもなびかないから、僕の側にいてくれると言うこと……。

 僕は嬉しくて、愛花さんを抱きしめた。

 そんな僕たちを見て、徹子ママが溜め息を付いた。

「歩夢くん分かってんの?誰も愛さないの中にあんたも入っていると思うんだけど……」

 呆れた様子で徹子ママが言ってくるが、僕はそれでも良かった。

「僕を愛してくれなくても、僕の側を離れないと言ってくれる。その言葉があればそれでいいです」

「愛せない女と、愛することしか出来ない男……。あんた達……歪んでるわね。まあ、あんた達はお似合いよ」

 そう言いながら徹子ママは私達の様子を見て嬉しそうに笑っていた。

 愛なんて無くても、この人が僕の隣にいてくれるならそれでいい。

 愛おしいこの人を抱きしめて僕は愛を囁く。

 愛を囁ける幸せを噛みしめて、僕は微笑んだ。

  

     FIN