それからまもなくして、分娩室に甲高い赤ちゃんの泣き声が響いた。私は疲れと安堵から、分娩台の上で天井を仰いだまま放心していた。そんな私の手を取って、歩夢が号泣しているのが視界に入る。
「愛花さん、お疲れ様でした。ありがとうございます」
ポタポタと歩夢の頬をつたう涙をそっと手で拭いながら私が微笑むと、そこにまだ血がついた状態の赤ちゃんが助産師さんに抱かれてやって来た。助産師さんに抱かれていた赤ちゃんは大きな声を出して泣いていた。
「元気な女の子ですよ」
そう言われて、私の腕の中に収まった物体に息を呑む。
これが私の赤ちゃん……。
私の腕の中にすっぽりと収まった小さな生き物は、安心したかのように泣くのを止め、眠りについた。
「ママのことが分かるんですかね?良かったですね。愛花さん」
歩夢にそう言われ、歩夢と赤ちゃんを交互に見ていると、赤ちゃんが愛花の指をギュッと握り絞めてきた。その時、胸の奥に温かい気持ちが、ジワリと広がった。
「ああ……愛おしいですね」
愛おしい……?


