「歩ちゃんのこと姫だって、ふふふっ」
そう言って笑うと、歩ちゃんは頬を掻きながら私を見た。
「何で姫なんですか?」
「ずっと眠ってたからだよ。いつまでも起きないお姫様を、私が見守っていたから」
「愛花さんが王子様ですか?」
「うん」
「それでは逆じゃ無いですか?見た目だって僕は姫には見えないですよ」
「ん?そうかな?歩ちゃん可愛いし……やっぱり歩ちゃんが姫じゃない?」
歩夢は絶句する。
「愛花さん……僕が寝ている間に何かしましたか?」
「別に何も……」
その後に続かない言葉に、歩夢が不安そうな顔をこちらに見せる。
「大丈夫だよ。ちょこっと歩夢に触れたり、囁いたりしただけだよ」
「それ、どんな風にですか?」
「えっと、こんな感じかな?」
そう言って、歩夢の手を取り指先に唇を持っていく。
「歩ちゃん、起きて……目を開けてよ」
チュッとリップ音が鳴る。それを聞いた歩夢が、体をワナワナと震わせながら真っ赤な顔をさせた。
「愛花さん!皆の前で何をしているんですか!」
「だって、看護師さん達が喜ぶんだもん」
「だもんって……可愛いですけど、もうしないで下さい。格好いい愛花さんは僕のモノですから」
「へぇー。そっか、私は歩ちゃんのモノなんだ?」
ハッとした歩夢がこちらをチラリと見て、不安そうな顔をした。


