流星の数の変化に、ぼくらはどよめいた。
河川敷広場にいた人々もどよめき、さらには歓声を上げたりもしていた。
今や、夜空は流星で埋め尽くされ、どこを見ても流星、たまに火球が現れ、と思えば大量の流星……。
そのとき、河川敷広場にいた誰かが「流星嵐だ!」と叫んだ。
瞬く間に「流星嵐」という言葉が河川敷広場に広まり、誰もが「流星嵐」とつぶやいていた。
流星嵐……。
…………。
これは願い事をかなえるには、千載一遇のチャンスだ。
言葉はいらない。
ぼくらは寝転ぶのをやめ、力強く立ち上がった。
誰を見ても、その顔には「覚悟」の文字が浮かんでいた。
……よし。
ぼくは流星嵐と化した夜空を見上げる。
そして――。
「『彼女』を元通りに、『彼女』を元通りに、『彼女』を元通りに!」
ぼくらは願い事を三回唱えた。
いや、叫んだ。
ぼくらはすべての想いを、ペルセウス座流星群にぶつけた。
すべてをペルセウス座流星群に託した。
けれど……いや、待て。
待て。
…………。
そのとき、一際強い風がぼくらの頬をなでた。
強い風……いや、優しく強い風だ。
ぼくはハッとする。
すべてを思い出した……思い出した。
ぼくは恐る恐る「彼女」を――夏奈さんを見つめた。
その顔には見覚えがある、見覚えがある……!
「……夏奈、さん。夏奈さん!」
ぼくは夏奈さんに抱きつこうとした――が、遙香さんに押しのけられ、ぼくはレジャーシートの上に倒れた。
そんなバカな。
ぼくがショックを受けているあいだに、遙香さんは夏奈さんに抱きついていた。
「夏奈、夏奈……夏奈ぁ」
「苦しいってば、遙香ぁ」
そのまま、二人は泣き出してしまう。
ほかのみんなもそうだったが、ぼくはもらい泣きし、自分もまた泣きじゃくった。
ひとしきり泣いたあと、急に二人は静かになった。
どうしたんだろう、とぼくは二人に声をかけようとした。
それよりも前に、遙香さんが口を開いた。
「わたしね、夏奈に言わなくちゃいけないことがあるの」
……まさか。
そのまさか、か?
ぼくの心の準備ができていないうちに、遙香さんは「わたし……」と口に出した。
やはり、そうなのか。
遙香さん……。
だが――。
「ストップ!」
と夏奈さんは遙香さんの話を遮った。
「あのさ、遙香の“それ”も含めてなんだけど……わたしたち、本音を言い合わない?」
「……本音?」
遙香さんは首をかしげたが、すぐに真剣な顔付きになる。
そして彼女は「……いいよ。本音、言い合おうよ」とこくりとうなずいた。
夏奈さんは満足そうにうなずき、それから遙香さん以外のぼくたちに向かって「本音を言い合うのは、わたしと遙香だけじゃない。この場にいるみんなだよ。みんなさ、本音を言い合おう」と力強く言った。
「わたしには分かっている……人を観察することが好きなわたしには、全部お見通し。
心のどこかで、みんなは本音を言い合いたいはずだよ。ね、そうでしょう?」
夏奈さんの言葉を聞いて、ぼくはみんなの様子を窺おうとしたが、すぐに思いとどまった。
なぜなら、それは野暮なことだったからだ。
今の夏奈さんの言葉で、ぼくは……ぼくらは気付いた。
自分だけじゃなく、みんな本音を言い合いたいのだと。
気付いたのだ。
はっきりと気付かされた。
ぼくは覚悟した。
これより先、お互いを傷つける言葉が飛び交うことを……ぼくは覚悟した。
最初の本音――それは夏奈さんが口にした。
「どうしてずっとわたしにウソをつき続けるの? みんな鬼だよ、鬼。
わたしじゃなくて、みんなが死ねばいいのに……よりによって、どうしてわたしなの?
答えてよ、殺人鬼!」
それは世界で一番ぼくらを傷つけるとともに、ぼくらを本音合戦へといざなう言葉だった。
今、本音合戦の幕が上がる。
河川敷広場にいた人々もどよめき、さらには歓声を上げたりもしていた。
今や、夜空は流星で埋め尽くされ、どこを見ても流星、たまに火球が現れ、と思えば大量の流星……。
そのとき、河川敷広場にいた誰かが「流星嵐だ!」と叫んだ。
瞬く間に「流星嵐」という言葉が河川敷広場に広まり、誰もが「流星嵐」とつぶやいていた。
流星嵐……。
…………。
これは願い事をかなえるには、千載一遇のチャンスだ。
言葉はいらない。
ぼくらは寝転ぶのをやめ、力強く立ち上がった。
誰を見ても、その顔には「覚悟」の文字が浮かんでいた。
……よし。
ぼくは流星嵐と化した夜空を見上げる。
そして――。
「『彼女』を元通りに、『彼女』を元通りに、『彼女』を元通りに!」
ぼくらは願い事を三回唱えた。
いや、叫んだ。
ぼくらはすべての想いを、ペルセウス座流星群にぶつけた。
すべてをペルセウス座流星群に託した。
けれど……いや、待て。
待て。
…………。
そのとき、一際強い風がぼくらの頬をなでた。
強い風……いや、優しく強い風だ。
ぼくはハッとする。
すべてを思い出した……思い出した。
ぼくは恐る恐る「彼女」を――夏奈さんを見つめた。
その顔には見覚えがある、見覚えがある……!
「……夏奈、さん。夏奈さん!」
ぼくは夏奈さんに抱きつこうとした――が、遙香さんに押しのけられ、ぼくはレジャーシートの上に倒れた。
そんなバカな。
ぼくがショックを受けているあいだに、遙香さんは夏奈さんに抱きついていた。
「夏奈、夏奈……夏奈ぁ」
「苦しいってば、遙香ぁ」
そのまま、二人は泣き出してしまう。
ほかのみんなもそうだったが、ぼくはもらい泣きし、自分もまた泣きじゃくった。
ひとしきり泣いたあと、急に二人は静かになった。
どうしたんだろう、とぼくは二人に声をかけようとした。
それよりも前に、遙香さんが口を開いた。
「わたしね、夏奈に言わなくちゃいけないことがあるの」
……まさか。
そのまさか、か?
ぼくの心の準備ができていないうちに、遙香さんは「わたし……」と口に出した。
やはり、そうなのか。
遙香さん……。
だが――。
「ストップ!」
と夏奈さんは遙香さんの話を遮った。
「あのさ、遙香の“それ”も含めてなんだけど……わたしたち、本音を言い合わない?」
「……本音?」
遙香さんは首をかしげたが、すぐに真剣な顔付きになる。
そして彼女は「……いいよ。本音、言い合おうよ」とこくりとうなずいた。
夏奈さんは満足そうにうなずき、それから遙香さん以外のぼくたちに向かって「本音を言い合うのは、わたしと遙香だけじゃない。この場にいるみんなだよ。みんなさ、本音を言い合おう」と力強く言った。
「わたしには分かっている……人を観察することが好きなわたしには、全部お見通し。
心のどこかで、みんなは本音を言い合いたいはずだよ。ね、そうでしょう?」
夏奈さんの言葉を聞いて、ぼくはみんなの様子を窺おうとしたが、すぐに思いとどまった。
なぜなら、それは野暮なことだったからだ。
今の夏奈さんの言葉で、ぼくは……ぼくらは気付いた。
自分だけじゃなく、みんな本音を言い合いたいのだと。
気付いたのだ。
はっきりと気付かされた。
ぼくは覚悟した。
これより先、お互いを傷つける言葉が飛び交うことを……ぼくは覚悟した。
最初の本音――それは夏奈さんが口にした。
「どうしてずっとわたしにウソをつき続けるの? みんな鬼だよ、鬼。
わたしじゃなくて、みんなが死ねばいいのに……よりによって、どうしてわたしなの?
答えてよ、殺人鬼!」
それは世界で一番ぼくらを傷つけるとともに、ぼくらを本音合戦へといざなう言葉だった。
今、本音合戦の幕が上がる。
