ベランダ越しに花束を



美沙とは、他の誰よりも1番会いたくない人だった。

訳あってのことだと分かっていても、自分だけ逃れようとして私を傷つけたのはすごく腹がたっていた。

全身の毛がぶわっと立ち、一気にどん底に落ちたような気分になった。

私は止まっていた足を再び動かして、何もなかったかのように過ぎ去ろうとした。

「待って!」

後ろから呼びかける美沙。

私は足を止めずに進もうと思った。

なのに、勝手に体が止まってしまった。

後ろから近づいてくる足音が聞こえる。