「後ろ向いて」
言われた通り後ろを向くとバッと私が持っていたバスタオルが奪われてしまった。
「ちょっ」
すぐに取り戻そうとするが明らかな体格差に圧倒的に負けた。
自分のバスタオルは肩にかけ、わたしのバスタオルを広げる。
何する気?
不思議に思いながら次の行動を待っていると私の視界が急に白くなった。
「えっ?」
ちょっとどういう事なの?
「ちょっとやめてよ」
ブンブンと首を振ると厄介そうな秋君の声が聞こえてきた。
「じっとしてろ」
えっ?
何がなんだかわからなかったが秋君のされるがままになる。
「痛かったら言えよ」
「うん……?」
何をするのかと身構えていると頭上から秋君の両手が乗った気がした。
それからわしゃわしゃとタオルを動かされる。
もしかして私の髪をふいてくれてる?
秋君も濡れてるのに……
「よし、もういいぞ」
少しして私の頭にかかっていたバスタオルが取られ、秋君の声がした。
「あ、ありがとう……」
秋君の顔を見るのは恥ずかしいから俯いきながらお礼を言う。
「ん、風邪引かないように風呂いってこい」
「先にいいの?」
「いいから行ってこい」
「ありがとう」
秋君からバスタオルを受け取り洗面所に向かう。
洗面所に行く途中、秋君の方を振り向くと口角が少し上がって見えたのは気のせいだろ。
私は秋君のお言葉に甘えて先にお風呂に入った。



