「えっ?」
こんな所で話してもいいのだろうかという考えが脳裏をよぎったがお構いなしに秋君が話し出すので言わない事に。
「俺の両親は俺が中学一年生の時には事故に遭って父さんは亡くなって母さんは入院中。過労時で命が繋がってるんだ」
あっそういえば私達が出会いきっかけとなったあのお悩み。
お母さんの事についてだった。
そっか、お母さんは入院してるんだ……
ただ淡々と秋君は話を続ける。
「それでその時の事故が結構大きくて、俺も巻き込まれたんだけど意識はあってさ」
「冷たいコンクリートに這いつくばって色んな人の悲鳴とか、車がぶつかる音とかが聞こえてさ」
「正直、怖かった。あぁ俺死ぬのかって、でもそれよりも大切な人をなくす事が怖かったっ」
秋君の声はどんどん消え入りそうなほど小さくなっていった。
それでも秋君は最後まで話してくれる。
「もうその事故がトラウマでさ、その事故で特に残ってたのが"音"なんだ。だから大きい音とか聞くとどうも思い出しちゃって……」
「今でも目を閉じると聞こえてくる気がするんだ、色んな人の悲鳴とか車両同士がぶつかる音とかが」
「ダサいよな、もう中1の時の事なのにまだ引きずってさ」
うんんっダサくなんかないっ。
「秋君はすごいよっずっと自分と戦ってたんだね」
私はこんな事しかできないけど、せめて私の気持ちは伝わって欲しい。
少しでも私の気持ちが伝わるようにと思い、私は秋君を抱きしめた。
今までの全てを抱きしめるかのように、優しく力強く。
「時雨っ……!?」
「秋君は頑張ったよっ今までよく頑張ったよっ」
「我慢しなくてもいいんだよっいつでも言ってね。なんてったって私はアドバイザーだからっ!」
「あぁ」
秋君は私に体に顔を埋め、声を殺して泣いていた。
その頭を私は撫でる。
幸いここは結構端っこで他の人から見られる心配はなかった。



