「あの、時雨さん……」
私が縮こまりながら座っていると頭のてっぺんからソプラノの声が降って来る。
「原さん」
私の机の前に立っていたのは亜香里さんだった。
「ごめんね、ちょっと言いたい事があって」
言いたい事?
気まずそうにしながら言う亜香里さんに私は頭を悩ませてしまう。
今更なんだろう?あんなにも私のことを毛嫌いしていそうに見えたけど……。
「う、うん」
亜香里さんから出てくる次の言葉が気になり、亜香里さんの顔をまじまじと見つめながら待った。
「ごめんなさいっ」
えっ?
てっきり私は「なんであんたが秋君に助けられてるのよ」と嫌味ったらしく言ってくるかと思っていたのに。
思っていた言葉じゃなく、拍子抜けしてしまう。
「私あなたの事を叩いた後に物凄く後悔した。柚弦は誰の物でもないし、あいつが誰と仲良くても私が口だしできる事じゃなかったって」
そういえば秋君がばら撒いた紙にも亜香里さんはそんな事を書いてくれていたような……
確かにみんなが好きだった秋君を見ず知らずの私が急に仲良くなったからそりゃみんなもなんでなのよって思うよ。
「私の方こそごめんなさい」
私は席から立って亜香里さんと目線を合わせて謝る。
「いやっ時雨さんが謝る事じゃ……」
亜香里さんは私が謝ってくるとは思っていなかったのか目を見開いている。



