「お風呂ありがと」
「あっうん…」
タオルでゴシゴシと髪の毛を拭きながらリビングに来た。
それはいいんだけど。
なぜ上半身何も着てないの!?
「お前服着ろっ」
あまりの驚きにそこら辺にあったTシャツを秋君に投げつけてしまった。
「投げんなよ」
ぶつぶついいながらも私の投げた服を秋君は着ようとする。
「…これなんだ?」
私がお風呂に入ろうと準備をしていると後ろからちょっぴり怒った声が聞こえる。
ん?と思い後ろを振り向くとそこには「ぽんこつ」と書かれているTシャツだった。
しかも、秋君にサイズが合うわけもなくとてもぴちぴちになっていた。
「あーそれ私のお気に入りなのに!!何勝手に着てるのよ!!」
「はぁ?お前が着ろつって投げたんだろうが!」
あれっそうだっけ?
そういえばさっきもうなんでもいいからってそこら辺にあったの投げたんだっけ。
「ご、ごめん…」
「まぁ、お前がいいならいいけど」
良くないわよ。
「じゃあ俺は持ってきたTシャツ着るから」
秋君はちぎれるんじゃないかってぐらいの勢いで私のお気に入りTシャツを脱いだ。
ちぎれるって…
もうただでさえちぎれそうな着方してたのに…
ほいっと私の方にTシャツを投げ捨て、自分の部屋に行こうとする。
「じゃ、それよろしくー」
さっきは「これが本当の姿なら少しは心を開いてくれたのかな」なーんて思ってた私がバカみたい。
全く変わらないただのうざい人。
「はぁー」
お風呂入ってこよ。
スキンケア一式と部屋着を持ってお風呂場へと足を運ぶ。
私は知らなかった。
この時秋君の顔色がほんのり赤くなっていた事に–––。



