「それは君のエゴだろ?俺達教師は面倒くさく思ってんだよ」
ステージ台の下からマイクなしでもはっきり聞こえる声で教頭が言った。
どうしてそんなに私の邪魔をしようとするの?私はあなたに何もしていないのにっ
大人の権力には子供が勝てるわけがない。
もう無理なのかもしれない、私の気持ちだけじゃどうにも……
そう心が折れそうになった時、体育館に一人の声が響いた。
「ちょっと待ったっ」
えっ?
聞き覚えのある声。毎日聞く声。私が今一番聞きたかった声の主。
体育館の後ろの方で叫んだ人物は前にいた生徒を押し除け、どんどんステージ台へと一直線に向かって来た。
秋君……?
人をかき分け姿を現したのは見間違えるはずもない、秋君の姿が。
「よく頑張ったな、凪音」
優しくそう言ってくれる秋君を見て、私は安心した。
「秋、君っ」
私は秋君が前にいると言う事実が嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
「凪音はよくやったからもうじっとしてろ」
あとは俺に任せとけと言わんばかりの口ぶりに首を傾げる。
何か手があるのかもしれない。
私は誰かに助けてもらったかもしれない。だから秋君が来てくれた時、素直に秋君に従うことができたのだろう。



