少しして一息つこうとリビングに向かうと丁度インターホンが鳴った。
あれっもう秋君帰ってきたのかな?
会長の家からここはちょっと遠い。だからこんなに早く帰ってくる事はないはずなんだけど。
秋君か?と疑問に思いながらでも今日は来客の人が来るはずなかったしなと頭を悩ませながらドアに手をかけた。
「はーい」
「あっどうも」
あれっ?どちら様でしょう?
私がドアを開けると秋君がいるとばっかり思っていたのだが、私の前に立っていたのは秋君ではなく一人の女の人。
少し小柄で美人顔というより可愛い感じの顔つき。
この人の顔なんか既読感あるんだよね……
誰だかは思い出せなかったが、四十代だろうなという事はわかった。
少しやつれてる気がする。
「あの、どちら様でしょうか」
もしかしたら秋君のお客様かもしれない。
「えっと、柚弦いますか?」
秋君?
若干申し訳無さそうに身を縮こませながら聞いてくる女の人はなんだか困っているように見えた。
「秋君なら今は不在でして」
「あ、そうですか……」
女の人はあからさまに肩を落とした。
もしかして秋君に会いたかったのかな?
「あの、もう少しで帰ってくると思いますので上がって待っていてください」
ここで帰す訳にもいかなかったので、秋君が帰ってくるまで上がって待ってもらう事に。
「ありがとうございます」
女の人はパァーっと顔を輝かせ、ぜひっと言って中に入ってもらった。



