「てめぇ何触ってんだよ」
「は?」
誰かの声がしたと思った。
聞き慣れた声。だけどいつもよりもトゲがある声だった。
私は必死に男の手を剥がそうとしていた手を止め声のした方を見た。
「お前が触ってる女、俺のもんなんだわ」
秋、君……!?
「はっ何言って……グハッ」
秋君の方を向き、なんだよっとまるで舐め回すかのように見ていた男の体が一瞬宙を舞った。
えっ?
驚くのも束の間、秋君は鬼の形相で倒れ込んだ男の胸ぐらを掴んで今にも殺しそうな勢いだった。
「お前一旦死ぬ?」
「いやっ、やめっ……」
相手の意見なんてお構いなしに殴りかかる秋君をもう誰も止めることはできなかった。
他の男の人達も、先輩も芽沙も、もちろん私も。
そんな秋君を止めたのは会長だった。
「やめろ柚弦、そんなやつ諭してやる価値もない」
「会長!?」
どこから来たのかいつの間にか会長が来ていた。
「でもこいつ凪音を……」
私?
「大丈夫、こいつはそのうち社会的に死ぬから」
不適に笑う会長は時々見せるブラックな会長だった。
「あっそ」
会長の事ならちゃんと聞く秋君はまだ収まりきらないと男を睨みつけながら胸ぐらを掴んでいた手を離した。
「なんだよ、こいつら……」
私達をナンパしていた男の人達は秋君と会長が相当怖く映ったのだろう、男達は顔面を真っ青にし走り去っていった。
よ、よかった……
秋君達がいなかったらどうなっていたことやらっ
「ありがとう、秋君」
「おう」
「会長も、ありがとうございました」
「いえいえ」
もういつも通りの会長に戻ったのかにっこりスマイルを投げかけてくれる。



