【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

 目の前には男の子。
 五年生くらいかな。
 なんだかとても元気そう。

『……ん?』

 お友達?

 いま、この子、お友達って言った?

「言ったよ。わたしの大切な、お友達だよ」

 そう、そうなのね。
 あんたにも、出来たんだ、ニンゲンのお友達。

「うん、ありがとう。……もう泣かないよ」

 そう、それはよかった。

「ねえ、ひとみさん」

 ……。

 ……?

 いま。

『そこのボク、今なんて』
「え?」
『あたしのこと、いま何て呼んだ?』
「え、いや……なんて言ったかな」

 あたしは気が付いたら写真から「駆け出して」いた。

「ねえ、ボク」

 あたしはその男の子の両肩に手を置いて、目をよく見る。

「ボク、名前は?」
「月森……あおです」

『──やあ、瞳さん、また会えたね』

 そう。

 ボク、(かえ)ってきてくれたの。

「そう、そうだったの──!」

 あははは。
 あたしは笑って、その子の手を引いて駆け出した。

「行こう、バス停まで! 鬼ごっこだよ、あお君!」
「うん、いこう、口裂け女さん!」

 あははは。
 ふふふふ。

『あー、くちさけおんなさんばっかり、ずるいー』
『ぼくもまぜてよ』
『鈴も、ご一緒したいです』

 後ろで、ポニーテールのあの子が、嬉しそうにため息を()く。

「まったく、わたしの『お友達』なんだけどな」



 はあっ。はあっ。
 はあっ。はあっ。

「ほらほら、早く! バスがきちゃう!」


【完】