【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

 あら。
 あらら。

 くるくる。
 視界が、視界が宙を舞う。

 うそ。
 あたし、抱っこされてる?
 自分より小柄な子に?

 ──ううん、ちがった。
 どうやらあたし、「写真に閉じ込められた」みたい。

 うーん。
 不覚。
 なんという屈辱。

 ヒトの子に勝負で──不意打ちとはいえ──ボロ負けした上に、写真に封じられるなんて。

 はあ。
 これじゃあ口裂け女の風上にも置けないわね。

『で。言うことってサ、なによう』
「まだ秘密。あとで話すよ」

 勿体ぶっちゃって。
 でもでも、ポニーテールの子はそんなのお構い無しにあたしを、あろう事かポケットに仕舞ってしまった。
 そのまま夜道を独り歩いて行く。

 きー、くやしい。
 この口裂け女さまが勝負でニンゲンの子供に遅れをとるなんて。

 はあ。

 なんのために四十年生きてきたのか。
 なんのために四十人食べてきたのか。

 あ、でも。
 今気がついた。

 いつもずっと立ちっぱなしの、この錆びたバス停から離れられたの。

 ──今日が初めてかも。