【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

「あんた、サ」
「……」
「また泣いてるの? こんな場所で。(ひと)り座って」
「……」
「お友達のひとりくらい、いないん?」
「……」
「……はあ、今日もだんまりですか」
「……」



 あたしはずぅっと、たいくつだ。

 退屈すぎて、気がついたら耳まで口が裂けてしまっていた。
 退屈すぎて、気がついたらヒトを四十人も食べてしまった。

 それでもそれでも、あたしはまだまだ、退屈なのだった。



 もう少し、何年か(あるいは何十年か)前。
 好きな人がいた。

 大好きで大好きで、毎日病室まで会いに行った。
 毎日手を繋いだ。
 毎日バス停まで走った。

 楽しかった。
 幸せだった。
 生きているって感じがした。

 どうしてか、今はその人はいない。
 あたしが血を吹いてから二ヶ月後にその人も死んだはず。

 なのに。

 こうしてこのバス停に居るのはあたしだけ。

 あれえ。
 あの子。
 あたしの好きだったあの子。

 名前、なんて言ったっけ。



 その日。
 あたしはいらいらしていた。

 のどが乾くんだ。
 あんまり退屈すぎて。

 こんな日は、また新たにヒトを食べたくなる。
 子供がいい。
 あの子と同じくらいの、美味しそうな、子供。

 そんな時。

「ねえねえ、オバサン」

 初め、自分が呼ばれているとは気づかなかった。

「ねえねえ」

 そもそも。
 あたしが姿を見せようとしていないのに、見えてしまうヒトは、今までいなかったから。

「わたしと『勝負』しようよ」