【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

「あんた、サ」
「……」
「また泣いてるの? こんな場所で。独(ひと)り座って」
「……」
「お友達のひとりくらい、いないん?」
「……」
「……はあ、今日もだんまりですか」
「……」

◇

 あたしはずぅっと、たいくつだ。

 退屈すぎて、気がついたら耳まで口が裂けてしまっていた。
 退屈すぎて、気がついたらヒトを四十人も食べてしまった。

 それでもそれでも、あたしはまだまだ、退屈なのだった。

◇

 もう少し、何年か(あるいは何十年か)前。
 好きな人がいた。

 大好きで大好きで、毎日病室まで会いに行った。
 毎日手を繋いだ。
 毎日バス停まで走った。

 楽しかった。
 幸せだった。
 生きているって感じがした。

 どうしてか、今はその人はいない。
 あたしが血を吹いてから二ヶ月後にその人も死んだはず。

 なのに。

 こうしてこのバス停に居るのはあたしだけ。

 あれえ。
 あの子。
 あたしの好きだったあの子。

 名前、なんて言ったっけ。

◇

 その日。
 あたしはいらいらしていた。

 のどが乾くんだ。
 あんまり退屈すぎて。

 こんな日は、また新たにヒトを食べたくなる。
 子供がいい。
 あの子と同じくらいの、美味しそうな、子供。

 そんな時。

「ねえねえ、オバサン」

 初め、自分が呼ばれているとは気づかなかった。

「ねえねえ」

 そもそも。
 あたしが姿を見せようとしていないのに、見えてしまうヒトは、今までいなかったから。

「わたしと『勝負』しようよ」