【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

 君には、大切なお友達はいるかい?
 君には、忘れられない思い出はあるかい?

 お友達、たくさんできた?
 今日も遊びに行く?

 ……そう、もう寂しくないんだね。
 それはよかった。
 たくさんのお友達が出来たんだね。

 そんな君に聞かせたいお話があるんだ。
 僕の話を、ぜひ聞いてみてほしい。

 僕と、不思議なお姉さんと、お化けたちとの──。
 不思議なひと夏の、記憶を。



 ──二年と九十日後。

 ミーンミンミンミン──……。

「ただいまー」

 優しくて柔らかい声がして、僕とたいようは携帯ゲーム機を置いて、玄関まで出迎える。
 あさぎお姉ちゃんだ!

 ふたりのお姉さんが立っている。
 おそろいの十字架模様の時計が可愛い。
 でも、なんだろう、もう一人のお姉さんは、手に何か持ってる。

「なにそれ?」
「ほら、ケーキ、買ってきたよ」

 あさぎお姉ちゃんは、ふたりの弟たちの前で自慢げだ。

「あれ、なんでケーキ?」

 僕がぽかんとして、その箱を見ていると。

「なんでって。きみねえ。自分の誕生日を、わすれちゃあいかんよ」

 ぴたり。

「ひゃあ!」

 僕のほっぺたにケーキの箱を押し付けた。
 ポニーテールにグレーのセーラー服が(まぶ)しい。
 手にはキャメルの持ち手が可愛いインスタントカメラを構えている。

 ぱしゃり。じー。

 ほっぺたを押さえた間抜け面した僕の写真を渡してきた。

「ほら、これでもう寂しくないでしょ。だから、ね。また笑ってよ、きみ」

 そして。
 その不思議なお姉さんは、笑った。


【完】