【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

「こらっ! あお!」

 誰かが、僕を呼んだ。思わず振り返る。小学校高学年くらいのお兄さんが、後ろに立っていた。

「けんかはだめだよ!」

 気が付くと、不思議なことに波が止まっている。お兄さんが近づいてくる。

「お兄さん、だれ」

 その人は、どこか見覚えのある人だった。

「僕、どうすればいいの」
「仲直りして。たった一人の、大切なお友達だろ」
「僕、あいつ嫌いだよ」
「それじゃだめだ。友達は大切にしないと」

 お兄さんが僕の手を取る。
 どうやらたいようも動けるみたいで、僕の所に戻ってきた。
 お兄さんはたいようの手も取って、ふたりに重ねた。

「ほら、もうこれで寂しくないだろ」



 ざっぱーん。特大の波が防波堤の先端にぶつかった。

 気が付いたらお兄さんは居なくて、僕はたいようとその少し手前で握手をしていた。

 たいようのお父さんが駆け寄る。
 こら、駄目じゃないか、ライフジャケットをぬいだりしちゃ。
 二人してげんこつを食らった。

 でもなぜか、とても暖かくて。僕とたいようはその手をはなせなかった。

「ほら、ふたりとも、こっちを向いて」

 ぱしゃり。じー。
 あさぎお姉ちゃんが撮ったインスタント写真には、はにかんだ二人が、写っていた。