「! 何か聞こえる!」
『よし、いいね、記憶にアクセスできたんだ』
最初に見えたのは、教室。
数学に英語。
小学校のじゃない。
中学校みたいだ。
目の前にはきぃ子ちゃんが座っている。
机に置かれたのは、まるばつゲームのマス目。
──まるばつゲームをしましょ。
──もう、終わりにしましょ、安西さん。
──私の命を、贄にするの。それで、おしまい。
『いいぞ、そのままゆっくり、過去にさかのぼるんだ』
ぼっ、と、お化けたちの、僕の友人たちの写真が燃え始めた。
『ボク、がんばれ!』
『つきもりくんならできるよー』
『しんじてるから』
『鈴も、いつまでも応援しています』
僕はその言葉を、声を、魂に刻んだ。
ありがとう。
君たちのことは、忘れない。
……あっという間にインスタント写真たちは、灰となって消えた。
お姉ちゃん。あさぎお姉ちゃん。僕は何度も、何度も呼びかけた。
また教室だ。
でもそれは、見慣れた、「僕らが通っている五年生の教室」だった。
──うん、いい。あと二年だけでも、声が聞けるなら。
──出さなきゃ負けよー じゃんけん……ぽん!
記憶がどんどん古くなっていく。
──安西さん、安西さん。どうしよう。あお君が、あお君が死んじゃったら、私……
──宝探し? はんこんじゅつ?
そして。
◇
──ざー、ざぱーん。ざー、ざぱーん。
それは、遠い海鳴りの音。
防波堤にぶつかってはくだける、白波の奏でる歌声。
海の音、波の音が聞こえる。
確かに、はっきりと。
「見つけた!」
僕は思わず叫んだ。
最後の宝探しは。
──僕の勝ちだった。
『よし、いいね、記憶にアクセスできたんだ』
最初に見えたのは、教室。
数学に英語。
小学校のじゃない。
中学校みたいだ。
目の前にはきぃ子ちゃんが座っている。
机に置かれたのは、まるばつゲームのマス目。
──まるばつゲームをしましょ。
──もう、終わりにしましょ、安西さん。
──私の命を、贄にするの。それで、おしまい。
『いいぞ、そのままゆっくり、過去にさかのぼるんだ』
ぼっ、と、お化けたちの、僕の友人たちの写真が燃え始めた。
『ボク、がんばれ!』
『つきもりくんならできるよー』
『しんじてるから』
『鈴も、いつまでも応援しています』
僕はその言葉を、声を、魂に刻んだ。
ありがとう。
君たちのことは、忘れない。
……あっという間にインスタント写真たちは、灰となって消えた。
お姉ちゃん。あさぎお姉ちゃん。僕は何度も、何度も呼びかけた。
また教室だ。
でもそれは、見慣れた、「僕らが通っている五年生の教室」だった。
──うん、いい。あと二年だけでも、声が聞けるなら。
──出さなきゃ負けよー じゃんけん……ぽん!
記憶がどんどん古くなっていく。
──安西さん、安西さん。どうしよう。あお君が、あお君が死んじゃったら、私……
──宝探し? はんこんじゅつ?
そして。
◇
──ざー、ざぱーん。ざー、ざぱーん。
それは、遠い海鳴りの音。
防波堤にぶつかってはくだける、白波の奏でる歌声。
海の音、波の音が聞こえる。
確かに、はっきりと。
「見つけた!」
僕は思わず叫んだ。
最後の宝探しは。
──僕の勝ちだった。

