【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

 お姉ちゃんの個室の引き戸を引く。
 その扉は、金属の規則正しい音を立ててゆっくりと開いた。

 呼吸を助ける装置の音が静かに響く、明るい部屋。
 そこに、その人は眠っていた。

 月森ああぎ。十三歳で、A型。
 僕の二つ年上の、お姉ちゃん。

 ──待ってたよ。

 九十日ぶりに思い出したそのお姉さんは、静かに息をしていた。

『さ、あたしたちをベッドに並べて』

 瞳さんが静かに言った。
 僕は、世界で一番大切な愛しい友人たちを、言われた通りお姉ちゃんの枕元に置いた。

「じゃあ、きぃ子ちゃん。始めるよ。僕たちの最後の勝負、宝探しを」
『うん、そうだね。始めよう』

 僕は、きぃ子ちゃんの指示する通りに、両手で狐を作って、それを組んだ。そして、できた隙間からお姉ちゃんを覗いた。

「……何も見えないよ」
『心の中で、呼ぶんだ。あさぎの名前を。きみがいちばん愛しいと思う呼び方で』

 お姉ちゃん。あさぎお姉ちゃん。お姉ちゃん──。

 ──あお。

 ──あお君。

 (かす)かな、懐かしい、優しい声が「聞こえた」。